【第1回】「ゼロクリック時代」の到来。検索をAIに“委任”するユーザーと、人間に出会う前に始まる「AIの審査」

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執筆者沖山 佑樹
コラムテーマWebマーケティング
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導入:結論——顧客はもう「探して」いない。AIに「調べさせて」いる

先に本コラムの結論をお伝えします。

ユーザーの情報収集行動は、検索エンジンで自力で調べて比較する「探索型」から、AIエージェントに調べさせて答えだけを受け取る「委任型(ゼロクリック)」へ移行している。この変化により、AIに情報が読み取られていない(インデックスされていない)企業は、人間の顧客に出会う前の「AIの審査」の段階で検討候補から弾かれる。対策の柱は、(1)第三者からの言及(サイテーション)と権威性、(2)構造化マークアップ等によるAIへの可読性向上、(3)会話型広告への対応、の3つである。

「ホームページはあるし、SEOもやってきた。それなのに問い合わせが減っている」——そう感じているなら、原因は貴社の努力不足ではなく、ユーザー行動そのものの構造変化にある可能性が高いでしょう。本コラム(全6回)では、ゼロクリック時代のAI検索対策とWebサイト戦略を、公的データに基づいて体系的に解説します。第1回はまず、いま何が起きているのかを正確に押さえます。

「委任型」への移行は始まっている。公的データが示すAI利用の急拡大

生成AIの個人利用は1年で約3倍。20代ではほぼ2人に1人

総務省「令和7年版 情報通信白書」によれば、日本国内の個人の生成AI利用経験率は26.7%と前年度(9.1%)から約3倍に急伸しました。年代別では20代が44.7%と最も高く、次代の購買の中心層から「まずAIに聞く」行動が広がっています。企業でも業務利用は55.2%と過半に達しました。米国68.8%・中国81.2%という先行国の水準を考えれば、日本の利用率上昇は今後も続くと見るのが自然です。

国も「AIに委ねる」体制へ。デジタル庁「源内」の大規模実証

デジタル庁は2026年5月から、全府省庁の約18万人の政府職員を対象にガバメントAI「源内(げんない)」の大規模実証を開始しました。行政実務までAIに委ねる流れが国家レベルで進むなか、民間の消費者・企業の情報収集がAI経由になるのは時間の問題ではなく、すでに進行中の現実です。

ホームページは「93.2%が持っている」持つだけでは差がつかない

総務省「令和6年 通信利用動向調査」(企業編)によれば、自社ホームページを開設している企業の割合は93.2%。ホームページの有無はもはや差別化要因ではありません。これからの分かれ目は、そのサイトの情報がAIに正しく読み取られ、AIの回答に採用されるか、つまり「AIというもう一人の読者」への対応の有無です。

「AIの審査」とは何か。人間に出会う前に検討候補が決まる

委任型ユーザーの購買プロセス

委任型のユーザーは、「〇〇市で△△に対応できる会社を、条件付きで3社挙げて」のようにAIへ依頼します。AIはWeb上の情報を読み取り、客観的な事実・実績・第三者評価が確認できる企業だけを回答に採用します。ユーザーが目にするのはこの「AIが選んだ候補リスト」であり、そこに入れなかった企業は、比較検討はおろか存在を認知される機会すら失います。これが「AIの審査」です。

しかも、AI検索を経由して問い合わせに至るユーザーは、AIとの対話で要件を整理し候補を絞り込んだうえで接触してくるため、購買意欲や検討の本気度が高い傾向があります。AIの審査を通過できないことは、単なる機会損失ではなく「最も質の高い見込み客」を失うことを意味します。

【対策の全体像】GEO(生成エンジン最適化)の3本柱

対策の柱

内容

本連載での解説回

① サイテーションと権威性

第三者からの言及・評価を増やし、AIが信頼できる根拠を作る

第2回

② AIへの可読性向上

構造化マークアップ等で、AIが読み取れる形に情報を整備する

第2回

③ 会話型広告への対応

AIとの対話面に表示される新しい広告への早期対応

第6回

 

この3本柱を支える土台として、サイトそのものの安全性と運用体制(第3回〜第5回で解説するセキュリティ・保守・基盤の刷新)が不可欠です。AIは情報の中身だけでなく、サイトが安全に運用されているかも含めて「信頼できる情報源か」を判断するためです。

今週からできる3つのアクション(現状把握)

1.  AIに自社を「審査」させてみる: 主要なAIサービスに「(地域名)で(自社の業種)のおすすめは?」と質問し、自社が回答に含まれるか、含まれる場合どんな情報が引用されているかを確認してください。これが貴社の現在地です。

2.  指名検索数の計測を開始する: 検索エンジンの無料ツールで自社名の検索表示回数を記録し、対策効果を測る基準値を作ってください。

3.  自社サイトの「最終更新日」を確認する: 情報が古いサイトはAIにも人間にも信頼されません。更新が止まっている場合、その理由(体制・基盤の問題)こそが本質的な課題です(第4回・第5回で詳述)。

よくある質問(FAQ)

Q. ゼロクリック時代でも、SEOは続けるべきですか?

A. 続けるべきです。AIの多くは検索エンジンのインデックスを参照して回答を作るため、SEOの土台(クロール可能で質の高いコンテンツ)はAI対策の前提条件です。変わるのは出口の設計で、「クリックさせる」から「AIに引用され、指名検索につなげる」に目標が変わります。

Q. BtoBの会社でもAI検索対策は必要ですか?

A. 必要です。総務省の白書が示すとおり企業の生成AI業務利用は55.2%に達しており、発注先の情報収集や初期比較を業務でAIに行わせるケースが増えています。BtoBこそ「AIの審査」が商談前の見えない選別として働きます。

Q. 何から着手すべきですか?

A. まず上記アクション1の「AIに自社を質問する」から始めてください。回答に含まれない・情報が誤っている場合、その原因(第三者評価の不足か、サイトの可読性の問題か)に応じて第2回で解説する対策に進みます。

結びの言葉

ゼロクリック時代の集客は、「人間に見つけてもらう」前に「AIに選んでもらう」ことから始まります。次回は、AIエージェントに選ばれるサイトの2大条件——「第三者の評価(サイテーションと権威性)」と「構造化マークアップによる可読性」を、実務レベルで解説します。

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生成AIの普及により、ユーザーがサイトを訪問せずに情報収集を終える「ゼロクリック時代」が到来しました。従来のSEOに依存した「WEB集客」は抜本的な見直しが迫られています。本レポートでは、自社をAIに正しく引用させる守りの「AEO・LLMO対策」と、顧客の文脈に寄り添い先行者利益を狙う攻めの「ChatGPT広告」の最新ノウハウを網羅。急速に進化する「AI検索」市場において、知られずに淘汰されるリスクを防ぎ、次世代の確固たる集客基盤を構築するためのレポートです。

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執筆者 : 沖山 佑樹

2013 年に船井総研に中途入社。 「スモールでも」「ローカルでも」をモットーにテクノロジーを使って、デジタルマーケティングに関する支援をしている。 中堅・中小企業とプラットフォーマーとの架け橋として、ご支援先の商品やサービスを理解し、最適なプラットフォーム活用(ネット広告やデジタルツールなど)を推進している。