【第2回】「最初の3秒」だけでは不十分?SNSアルゴリズムが重視する「継続視聴」の作り方

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執筆者沖山 佑樹
コラムテーマWebマーケティング
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導入:結論——「3秒で釣る」から「20秒観てもらう」への転換

先に結論をお伝えします。

SNSアルゴリズムの評価軸は、「冒頭3秒のインパクト」から「15〜20秒の継続視聴(視聴維持率)」へとシフトした。冒頭で誇張して釣り、すぐ離脱される動画は、むしろアカウント全体の評価を下げる。必要なのは、冒頭で「この動画を観る理由(約束)」を提示し、本編でその約束を確実に回収する構成設計である。

「バズる動画は最初の3秒がすべて」——数年前までのSNS攻略の定石です。しかし今、この定石を信じて冒頭のインパクトだけに全力を注いだ動画は、再生数が伸びないどころか、アカウントの評価そのものを毀損しかねません。本コラムでは、なぜ評価軸が変わったのかを構造から解説し、継続視聴を生む具体的な構成術を紹介します。

なぜ「継続視聴」が評価されるのか——総務省データで読み解くプラットフォームの論理

動画系サービスの利用は全世代に拡大している

総務省情報通信政策研究所の「令和6年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によれば、動画共有系サービスの利用率は全年代でYouTubeが80.8%、TikTokが33.2%に達し、TikTokは前年から増加(+0.7ポイント)しています。利用者の裾野が広がりきった今、各プラットフォームが競っているのは「新規ユーザーの獲得」ではなく「限られた利用時間(可処分時間)をどれだけ自分のサービス内に留めるか」です。

プラットフォームの収益構造が「視聴維持」を要求する

プラットフォームの広告収益は、ユーザーの滞在時間に比例します。だからこそアルゴリズムは、「ユーザーを長く満足させ続けるコンテンツ」を優遇し、「クリックさせるが即離脱されるコンテンツ」を冷遇する方向に進化し続けています。さらに第1回で述べたとおり、AIがコンテンツの中身を直接読めるようになったことで、「冒頭の煽りと本編の中身が一致しているか」まで判定できるようになりました。誇張で釣る手法の寿命は、構造的に尽きたのです。

「15〜20秒の継続視聴」を生む構成術

構成要素

3秒型(旧)の作り方

継続視聴型(新)の作り方

冒頭(0〜3秒)

とにかく派手に、煽りで注意を引く

「誰の・何が・どう解決するか」を約束する

序盤(3〜10秒)

本題を引き延ばして焦らす

約束した内容の結論・要点を先に見せる

中盤(10〜20秒)

(設計なし)

結論の根拠・手順・実例で深掘りする

終盤

「いいねしてね」で終わる

次の行動(保存・プロフィール・関連動画)へ誘導する

 

冒頭は「インパクト」ではなく「約束」

冒頭3秒が不要になったわけではありません。役割が変わったのです。旧来の「驚かせて指を止めさせる」から、「この動画を最後まで観る理由を宣言する」へ。「◯◯業の集客で失敗する3つのパターンを解説します」のように、視聴者が得られる価値を具体的に約束することが、結果として最も離脱されにくい冒頭になります。

15〜20秒地点までに「約束の回収」を始める

アルゴリズムが注視する15〜20秒地点までに、視聴者が「約束どおりの中身だ」と確信できる状態を作ります。結論を出し惜しみして引き延ばす構成は、テレビ番組では有効でも、離脱が数タップで完了するSNSでは致命的です。結論先出し→根拠・具体例で深掘りの順序が基本形です。

離脱ポイントを特定し、構成を改善する

各プラットフォームの分析機能で視聴維持率のグラフを確認し、視聴者がどの秒数で離脱しているかを特定します。「冒頭で急落→約束が弱い」「10秒付近で急落→本題に入るのが遅い」など、離脱位置と構成上の原因はほぼ対応します。感覚ではなくグラフで動画を改善する習慣が、チーム運用の土台にもなります(第9回で詳述)。

今週からできる3つのアクション

4.  既存動画の視聴維持率を確認する: 直近10本について15秒地点の維持率を一覧化し、自社の「観られる動画/観られない動画」の構成の違いを言語化してください。

5.  冒頭を「約束型」に書き換える: 次回の動画から、冒頭のセリフを「この動画では◯◯が分かります」型に統一し、維持率の変化を検証してください。

6.  構成テンプレートを作る: 「約束→結論→根拠→行動喚起」の4部構成を台本テンプレートとして文書化し、担当者個人の感覚に依存しない制作体制を作ってください。

よくある質問(FAQ)

Q. 長い動画と短い動画、どちらが有利ですか?

A. 長さそのものより「視聴維持率」が重要です。30秒で最後まで観られる動画は、3分で半分離脱される動画より高く評価される傾向があります。まずは短尺で「最後まで観られる構成」を作れるようになることを推奨します。

Q. 冒頭のインパクトはもう不要ということですか?

A. 不要ではなく、役割が変わりました。注意を引くこと自体は必要ですが、その手段が「誇張」から「価値の約束」に変わったということです。約束型の冒頭は、注意を引きつつ離脱も防ぎます。

Q. 視聴維持率はどのくらいを目指せばよいですか?

A. 業種や動画の長さで異なるため、絶対値より「自社の過去動画との比較」で改善を測ることを推奨します。まず自社の平均値を把握し、構成改善によってそれを上回ることを目標にしてください。

結びの言葉

継続視聴の時代は、「視聴者との約束を守る」という誠実なコンテンツづくりがそのままアルゴリズム対策になる時代です。次回は、もう一つの大きな構造変化——SNSの「検索エンジン化」と、Google連動を見据えた投稿設計を解説します。

 

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執筆者 : 沖山 佑樹

2013 年に船井総研に中途入社。 「スモールでも」「ローカルでも」をモットーにテクノロジーを使って、デジタルマーケティングに関する支援をしている。 中堅・中小企業とプラットフォーマーとの架け橋として、ご支援先の商品やサービスを理解し、最適なプラットフォーム活用(ネット広告やデジタルツールなど)を推進している。