本コラムをお読みいただきありがとうございます。船井総合研究所のWEBマーケティングコンサルタント、松本です。

　リスティング広告を運用しているものの、「全体のCPA（顧客獲得単価）は悪くないが、内訳を見るとスマートフォンでの成果が極端に悪い」「PCとスマホで同じ広告を出していて良いのだろうか」といった疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか。

　現代のWebマーケティングにおいて、ユーザーはPC、スマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスを使い分けて情報を探しています。「リスティング 広告 スマホ」と「リスティング 広告 PC」では、ユーザーの行動特性が大きく異なるため、その違いを理解し、デバイスに合わせた最適化を行うことが、広告成果を最大化する上で不可欠です。本稿では、そのための具体的な運用ノウハウを徹底解説します。

　まず、なぜ「リスティングデバイス別」の運用がこれほどまでに重要なのか、その背景となるPCユーザーとスマートフォンユーザーの行動特性の違いから見ていきましょう。

PCユーザーとスマホユーザーの行動特性の違い

　PCユーザーは、主に職場や自宅のデスクなど、落ち着いた環境でじっくりと情報収集や比較検討を行う傾向にあります。一方、スマートフォンユーザーは、移動中や外出先、自宅でのリラックスタイムなど、隙間時間を使って情報を探すことが多く、即時性や手軽さを求める傾向が強いです。

　この利用シーンの違いは、検索意図にも影響します。例えば、高額な商品を購入する場合、PCで詳細なスペックを比較検討し、最終的な購入はスマホで行う、といったクロスデバイスでの行動も一般的です。画面サイズや操作性の違いも、広告のクリック率やLP（ランディングページ）でのコンバージョン率に大きく影響します。

リスティング広告における「デバイス別」の指標とリスク

　これらの違いから、リスティング広告のパフォーマンスはデバイスごとに異なるのが通常です。デバイス別のレポートを見ると、クリック率（CTR）やコンバージョン率（CVR）に大きな差が出ていることがよくあります。

　この差を無視して画一的な運用を続けると、「成果の低いデバイスに無駄な広告費を使い続けてしまう」「本当は成果を伸ばせるはずのデバイスでの機会を逃してしまう」といったリスクが生じます。だからこそ、デバイス別の特性を理解し、入札単価を個別に調整する必要があるのです。

　デバイス別運用の核心となるのが、「デバイス別入札単価調整」です。

デバイス別入札単価調整とは？仕組みと目的

　これは、PC、スマートフォン、タブレットの各デバイスに対して、基準となる入札単価に対する調整率（%）を設定できる機能です。例えば、スマートフォンのCVRがPCより高い場合、スマートフォンの入札単価を20%強化する（+20%）、逆にPCの成果が悪ければ30%抑制する（-30%）といった調整が可能です。
　この機能の目的は、成果の高いデバイスに入札を集中させ、費用対効果を最大化することにあります。

デバイス別入札単価調整の具体的な設定方法

　Google広告、Yahoo!広告ともに、キャンペーン設定の中からデバイスの項目を選択し、調整率を入力するだけで簡単に設定できます。
　調整率を決定するためには、まず管理画面のレポート機能でデバイス別のパフォーマンスデータ（表示回数、クリック数、CVR、CPAなど）を確認します。そして、「CPAが目標値よりも大幅に高いデバイスの入札を下げる」「CVRが特に高いデバイスの入札を上げる」といった方針を立て、具体的な調整率を決定します。
　調整を成功させるコツは、一度に大幅な変更を加えるのではなく、-10%や+15%など、段階的に調整を行い、その都度効果を検証することです。

　入札単価の調整だけでなく、広告クリエイティブやLPもデバイスごとに最適化することで、成果はさらに向上します。

【スマホ向け】リスティング広告の最適化戦略

・広告文の最適化：
スマートフォンユーザーは画面を素早くスクロールします。そのため、広告文は「初回限定」「今すぐ予約」など、簡潔で分かりやすく、行動を促す訴求が効果的です。

・LPの最適化：
ファーストビュー（最初に表示される画面）で要点を伝え、縦長の画面でも読みやすいフォントサイズやレイアウトにします。
電話番号をタップすればそのまま発信できる「タップトゥコール」や、入力項目が少なく、入力補助機能が充実したフォームなど、スマートフォンならではの操作性に配慮したCTA（行動喚起）を設置することが極めて重要です。

【PC向け】リスティング広告の最適化戦略

・広告文の最適化：
PCユーザーは比較検討する傾向があるため、「豊富な機能」「他社との比較」「導入事例はこちら」など、より詳細な情報や信頼性を示す広告文が有効です。

LPの最適化：
　・PCの大きな画面を活かし、詳細なスペック表や解説動画など、豊富な情報量を盛り込むことができます。
　・複数の料金プランを比較させたり、関連資料をダウンロードさせたりと、ユーザーにじっくり検討してもらうための導線を設計します。

　これらの施策と並行し、「リスティング 広告 デバイス別」のデータを定期的に分析し、デバイスごとに異なるキーワード戦略を立てるなど、改善サイクルを回し続けることが成功の鍵です。

Q1. デバイスごとのパフォーマンスを確認する方法は？
A. Google広告、Yahoo!広告ともに、管理画面の「デバイス」という項目から、各デバイスのパフォーマンスデータを簡単に確認できます。

Q2. スマホとPC、どちらを優先すべき？
A. 商材やターゲットによって異なります。まずはデータを分析し、自社のビジネスにおいてコンバージョンに繋がりやすいデバイスを見極めることが重要です。BtoB商材であればPC、店舗への来店促進であればスマートフォンが重要になる傾向があります。

Q3. デバイス別入札調整の際に陥りがちな失敗例は？
A. 短期的なデータだけで判断し、頻繁に入札調整率を変更しすぎると、かえって機械学習が不安定になることがあります。また、CVRが低いからといって単純に入札を下げ続けると、表示機会そのものを失い、重要な見込み客を逃す可能性もあるため注意が必要です。

　本コラムでは、リスティング広告におけるデバイス別運用の重要性と具体的な手法を解説しました。

　もはや、PCとスマートフォンを同じものとして扱う広告運用は時代遅れです。「リスティング 広告 スマホ」「リスティング 広告 PC」それぞれのユーザー特性を深く理解し、入札単価の調整、広告文やLPの最適化を地道に行うこと。そして、常に変化するデバイス環境に対応し、継続的な改善を続けることこそが、リスティング広告の成果を最大化する最短ルートなのです。